8月中旬から下旬にかけて北海道を襲った4つの台風によって広範囲で農業被害が発生しました。一方、漁業への影響は報道も少なく実態が見えてきません。9日、10日の2日間、畠山和也衆院議員らとともに、日高地方と内浦湾(噴火湾)の沿岸を調査しました。谷園子新ひだか町議、立野広志洞爺湖町議、檀上美緒子森町議が同行。漁業者の経営や地域経済を揺るがす深刻な事態が発生していました。
「50数年ここに住んでいて、こんなの初めてだ」。新ひだか町の有勢内(うせない)浜で夫とコンブ漁を営む女性が驚きます。台風10号による大波で自宅前の干場(かんば)が冠水。砂利が流失し、流木やゴミなどが散乱しました。「コンブがあっても干す場所がないと(出荷できない)。少しでも力になってもらえれば」と女性の夫は話しました。
同町の春立地区では、コンクリートの護岸が広範囲に大破。地形が変わるほど土砂が流失し、干場復旧の目途が立たない状況です。
ひだか漁協の中村敬専務理事は「静内地区では6~7割の干場がやられてしまった。組合員からは来年の5~6月までに何とかしてほしいと声が上がっていて、希望を持って生産できるようにしたい」「国は激甚災害の指定と早期の復旧を」と力を込めました。
調査団はいぶり噴火湾漁協(洞爺湖町)、砂原漁協(森町)、森漁協(同)も訪問。洞爺湖町では離岸堤(消波ブロック)が崩れ、高波発生時の市街地への浸水も懸念されています。
噴火湾ではホタテの養殖が盛んで、水揚げの大半を占めています。しかし、ホタテに付着するザラボヤの被害に加えて、昨年から原因不明の斃死(へいし)が大量に発生し、水揚げが大幅に減少していました。そこに追い打ちをかけるように台風10号が襲来。海中の養殖施設に大きな被害が発生しました。稚貝の生育を心配する声も上がっています。
「(漁師は)口を開けば『厳しい』と言う」。砂原漁協の髙山修専務理事は漁師の苦しい思いを代弁しました。斃死と台風被害で来年のホタテの出荷金額が通常の3分の1程度まで減少する試算もあるといいます。
地域経済への影響も。森漁協の清水明専務理事は指摘します。「ホタテの加工工場が稼働できないでいる。人件費を工面できなければ、(来春に)ホタテを耳吊りすることもできない。(出荷できなければ)トラックも必要なくなる。そうなれば町の経済がおかしくなる」。
1億3000万円の被害が発生した、いぶり噴火湾漁協の細川正専務理事は「激甚災害の指定を含めて『オール北海道』で国に支援を要請しなければ」と語りました。
前出のひだか漁協の中村敬専務理事は強調します。「こうした災害が起きた以上、今後は『想定内』のこととして考えなければならないのではないか。施設のかさ上げを含めて、国には災害を防ぐ手立てをとってほしい。漁民と一緒に国土保全対策を進めてほしい」。
安倍政権は今日、4台風について一括して激甚災害に指定する方針を固めたと報じられていますが、実態に合った適応とともに、現状復帰にとどまらず、安心して暮らせる国土を築くための対策を求めていきたいと思います。
[2回]
http://morimori.blog-mmo.com/%E6%B4%BB%E5%8B%95%E5%A0%B1%E5%91%8A/%E9%81%93%E5%86%85%E6%BF%80%E9%9C%87%E2%80%95%E2%80%95%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E8%AA%BF%E6%9F%BB%EF%BC%88%E6%97%A5%E9%AB%98%E3%83%BB%E5%99%B4%E7%81%AB%E6%B9%BE%E7%B7%A8%EF%BC%89道内激震――台風被害調査(日高・噴火湾編)