日本の原子力政策がいよいよ曲がり角に来ています。
「核燃料サイクル」の中核だった高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉の方向へと動き出し、使用済み核燃料が政策上も行き場を失うことになります。福島第1原発は事故収束の見通しが立たず、汚染水対策の切り札とされていた凍土壁についても、「遮水能力が高いというのはほとんど破綻している」と政府の検討会でも指摘されるほどです。
こうしたなかで再稼働に固執する原発推進勢力と安倍政権の異常さが際立っています。
先日私は、畠山和也衆院議員、岩渕友参院議員、日本共産党道議団と岩内町議団のみなさんとともに、泊原発施設内を視察しました。同3号機は再稼働にむけて新規制基準の適合性を審査中です。これまでも敷地内を視察したことがありますが。高さ16・5㍍の防潮堤が完成し、雰囲気がだいぶ変わりました。原子炉格納容器内の冷却・減圧のための代替格納容器スプレイポンプなども設置され、確かに新規制基準に基づく対策工事は進んでいるようです。その額は2,000億円台前半(~2,500億円)にのぼるとのこと。
(北海道電力提供)
北海道電力の幹部の方の説明を聞くと、対策に余念はないとの思いは十分に伝わりました。でも、どれだけ安全対策を施したとしても、原発に「絶対安全はない」と証明されてしまったのが福島原発事故です。実際、具体的に詰めていくと、さまざまな問題が浮き彫りになりました。
例えば、原子炉を冷却する際に使用する、ろ過水タンクの耐震化がされているか尋ねると、「さほど耐震性が高いものではない」「新規制基準で強化はしていない」と回答。北電側は別な経路からも取水できるとして問題視しない姿勢でした。
事故対策の拠点となる免震重要棟も造られないのではないか。北電幹部は「免震と耐震のどちらがいいというわけではなく、九州電力を含めて他の電力会社さんの状況を確認しながら検討する」「再稼働までは今の緊急時対策所を使う」と述べました。
最悪の事態に陥った場合の避難計画は大丈夫か。泊原発から30㌔圏内の仁木町では、町民との懇談で「吹雪で(車が)動けなくなることもあるのに、『絶対安全』な避難はあり得ない」と不安の声が出されました。佐藤聖一郎・仁木町長との懇談で、同席した町幹部の方が「避難経路を2系統にした」と説明されましたが、一方で「原発がある以上はリスクを伴っている」と思いを吐露されました。
意見が噴出した札幌での住民説明会で「再稼働しないのが安全だというご意見は、その通りだと思う」と本音をのぞかせた北海道電力。それこそが、福島原発事故の最大の教訓ではありませんか。電力を生み出すために原発は必要ないし、あってはなりません。
昨晩は道庁前の反原発抗議行動に参加しました。泊はもちろん、日本中の原発の再稼働を許さず「原発ゼロ」の日本を実現するために、みなさんとたたかい続けます。
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