NPO法人「働く人びとのいのちと健康をまもる北海道センター」の第4回通常総会があり、連帯のあいさつをさせてもらいました。
同センターは、労働災害・職業病に関する日常的な相談活動や労働安全衛生活動への支援、行政や社会への働きかけを通じて、すべての働く人々の命と健康を守り、人間らしい労働と職場環境の実現をめざしています。
過労死を生むような長時間残業や違法・脱法のブラック企業、ブラックバイトが横行するなかで、政治が果たすべき役割が大きくなっています。
一方、安倍政権の対応はどうか――。第3次再改造内閣を発足させた安倍首相は「最大のチャレンジは『働き方改革』」だと述べ、「働き方担当相」を任命したうえで、「働き方改革実現会議」を設ける方針を固めました。
しかし本来、「働き方改革」をいうのであれば、厚労省が担当するのが筋だし、労働問題は労政審(労働政策審議会)があり、そこで、「公益」「労働」「経営」の3者で議論し、労働法の改定や政策を決める仕組みがあります。にもかかわらず、わざわざ新しい大臣を任命し、そのもとに機関をつくるというのは、あからさまな“厚労省はずし”であり、労政審のいっそうの形骸化をはかるものに他なりません。
労政審は「公益」「労働」「経営」の3者が同数ですが、「働き方改革実現会議」の16人のメンバーのうち、労働者側は1人。あとは使用者側が2人、残りの13人は安倍首相ら閣僚と学者という構成になっています。
そもそも、安倍政権の「働き方改革」というのは、「1億総活躍プラン」の目標としている「新・3本の矢」の「第1の矢」として位置付けられているものです。ここでは、「GDP 600兆円」を実現するために、「残された『岩盤規制』の突破口を開く」と強調しています。年初におこなった施政方針演説のなかで、安倍首相は「働き方改革」について次のように述べています。
「最も重要な課題は、一人ひとりの事情に応じた、多様な働き方が可能な社会への変革。そして、ワーク・ライフ・バランスの確保であります。労働時間に画一的な枠をはめる、従来の労働制度、社会の発想を大きく改めていかなければなりません。フレックスタイム制度を拡充します。専門性の高い仕事では、時間ではなく成果で評価する新しい労働制度を選択できるようにします」
――なんのことはありません。安倍首相は「同一労働同一賃金」などと口にしていますが、安倍政権の「働き方改革」とは、財界・大企業の目先の利潤追求を促進するために労働法制の規制を撤廃するものであり、労働者の声を遠ざけ、財界の主張をストレートに労働政策に反映するための新しい枠組みをつくろうとしているのです。これでは働く人々の苦しみは解消しません。
いま必要なことは「働き方改革」ではなく、異常な「働かせ方改革」こそ必要ではないでしょうか。そのために、「財界中心」の自民党政治を変える必要があります。
日本共産党は、派遣法改悪や裁量労働制といった労働法制の規制緩和路線を撤回させ、残業時間の上限を法律で規制するなど、長時間労働をただす。雇用のルールを強化し、非正規から正規への流れをつくる。最低賃金をいますぐ全国一律1,000円に引き上げ、1,500円をめざすことを提案していますが、ILO(国際労働機関)が提唱するディーセント・ワーク――人間らしい労働と生活の実現にむけて、みなさんと頑張りたいと思います。
参院選では、4野党の「共通政策」として、介護・福祉職員と保育士の給与引き上げや長時間労働の規制などを確認することもできました。真の働き方の改革のためにも、市民と野党のたたかいをさらに発展させていきましょう。
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