憲法9条を根底から覆し、アメリカが引き起こす戦争に参戦・支援する戦後最悪の悪法――「戦争法案」の国会審議がはじまるなか、日本をアメリカに売り飛ばすもうひとつの大問題、TPP(環太平洋連携協定)交渉も最大の山場を迎えています。
憲法や法律よりも外国の企業・投資家のもうけを優先させるISD条項をはじめ、国の主権をないがしろにするTPP。「例外なき関税撤廃」を原則とし、農林漁業と地域経済に壊滅的な影響を及ぼします。この問題で先週、3日間の日程で空知地域でのキャラバンに取り組みました。来年夏の参院選で比例代表から立候補を予定している、いわぶち友さん(活動地域:北海道・東北)との初めての行動。どこでも強い危機感と安倍政権に対する不信、憤りが出されました。
空知地域は日本有数の穀倉地帯。石狩川に沿って延々と水田が広がります。「このままでは北海道は壊滅する」「地域のインフラがどうとかいう次元の問題ではない」――。各地の農協組合長や幹部のみなさんから悲痛な声が相次いで出されました。営農を直撃しているのが生産者米価の下落です。政府が米の需給と価格安定に責任を持たず、市場任せにしてきた結果、米価の下落が続いています。とりわけ昨年の下落幅は大きく、コスト割れが深刻な事態に。「コメの概算金と直接支払交付金が下がり、ダブルパンチだ」と危機感をつのらせます。日米交渉に関する報道で20万㌧ものコメの輸入拡大がとりざたされていますが、これ以上輸入拡大がすすめば、米価の値崩れは必至です。
こうした状況のなかで、農民のみなさんの意欲が落ち込んでいます。「組合員の士気が目に見えて下がっている。以前なら苗作りに失敗しても諦めなかったが、いまは『それなら大豆にしようか』という農家も出てきている」との実態も語られました。農民のみなさんは、コスト割れするような状況でも「消費者のために、安全でおいしい食べ物を」と懸命に営農を続けてこられました。しかし、こうした努力もTPPに参加すれば、もう限界です。「国はコメを手放そうとしているのではないか」。関係者の不信は高まるばかりです。
地元の市長、副市長との懇談でも、異口同音に「地域への影響が大きく、TPP反対のスタンスは変わらない」とのべられました。「持続可能な農業にしなければならない」「農業がなくなれば国は滅びる。食べ物は自国でつくるのが基本だ」との声も。農業が成り立たず、主食のコメさえ自給できない国になってしまえば、未来はありません。農業を国の基幹産業として位置付け、再生産可能な農産物価格の実現こそ必要です。
TPPへの参加は決して既定路線ではありません。当初の予定では2013年末までに「大筋合意」することが目標でしたが、いまだ合意には至っていません。交渉参加国からの反発が強まっているからです。TPP交渉をまとめるためには、米国大統領に交渉の権限を一任するTPA法案を米国議会で通すことが重要だとされていますが、アメリカの労働者からも暮らしや雇用が脅かされるのではないかと懸念が高まり、成立は不透明な状況です。今月下旬に予定されていた交渉参加国による閣僚会合も延期に。こうしたなかで、TPP交渉のタイムリミットとされる6月末がいよいよ迫ってきました。「オール北海道」で取り組まれてきたTPP反対の運動が、各国の運動と重なり、ここまで追い込んできたのです。
アメリカや多国籍企業だけが一人勝ちするTPP。国会決議では、コメや麦など「重要5項目」を守れなければ「脱退も辞さない」ことを決めています。ある農協の組合長は「勇気がなければ理想は語れない」と語りました。国会決議を守れないことが明らかになっている以上、いまこそ堂々と交渉から撤退すべきです。
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