昨日、北海道電力の本店を訪問し、「電気料金の再値上げ撤回」を申し入れ、道民のみなさんから預かった2,638人分の署名(第1次分)を提出してきました。日本共産党の青山慶二道委員長や真下紀子道議も一緒です。給料が減る一方で、増税や物価の値上がりで家庭の負担が急増しています。道内経済も厳しさを増しています。こういう状況の中で、2割前後もの再値上げはとても耐えられるものではありません。「企業の倒産など、道内経済への影響を試算しているのか」と尋ねると、「していない」との答えでした。あまりにも無責任だと思いました。
今週、道議会では真下道議の質問であらたな事実がわかりました。電力事業とは直接関係のない団体や企業に、69人の北電社員を〝ウラ出向″させていたのです。北電は給与の一部、または全額を負担しています。その額は、最大で4億6,000万円余にのぼります。高橋はるみ知事は、給与は「原価に算入していない」と北電をかばいましたが、電気料金が原資であることに変わりありません。
さらに、今日の「しんぶん赤旗」のスクープでは、北電の常務が、北電から役員報酬を受け取りながら、実際には北海道経済連合会(道経連)に主に出勤しているという事実がわかったのです。役員報酬の額は年間1,800万円です。役員報酬について北電は「電気料金の原価に含まれている」と認めています。
いま、年収200万円にも満たない、働く貧困層が1,000万人を超えています。私と同世代の若者は大半がワーキングプアです。1,800万円もあれば、何年暮らしていけるでしょうか。自分たちの懐は痛めず、道民にだけ負担を強いる。そして、そのお金で、経済界にも〝ウラ出向″させて、虎視眈眈(こしたんたん)と自分たちの影響力を広げる――公益企業としての資格が問われると言わざるを得ません。
私が一番、許せないのは、値上げの「理由」です。北電は、原発が止まっているからコストが上がっているといいます。しかし実際は、原発の再稼働にこだわり続けていることが、北電自身の首を絞めている。
泊原発を国の「新規制基準」に適合させるために、1,600億円もの工事費が見込まれています。昨年の電気料金値上げのときと比べ、あらたに700億円増えています。北電はこの700億円について、今回の値上げ分に含んでいないと認めました。つまり、近い将来、再々値上げが必要になってくるのです。「基準地震動」が変更になり、耐震設計を変更する工事が加わることになれば、さらに費用は増えるでしょう。原発を動かそうとすればするほどコストがかかり、電気料金としてはねかえってくる、というのが事実なのです。そもそも、原発が動いていなくても、維持するだけで、年間800億円ものコストがかかっています。
北海道電力は、道民の反対の声を押し切って原発を次々とつくり、全国の電力会社のなかで、もっとも原発の依存度を高めてきました。北電に対し「いまこそ、原発をやめる決断をするときではないか」と問いただしましたが、北電の担当者は「(もし)原発がなかったら、ということは前提にない」と、原発にこだわる姿勢を崩しませんでした。
自らの経営判断の誤りを認めず、道民に負担を押し付け、原発を続けようとする――。電気料金を「人質」にして原発の再稼働をすることは、二重にも三重にも間違っています。
いまなお、福島のみなさん、そして、全国の被災者のみなさんの苦しみが続いています。先日は、福島地裁で、原発事故で避難していた女性が命を絶ったことに対し、事故が原因だと認める判決が下されました。裁判には勝ったけれども、奥さんは帰ってきません。旦那さんの心にあいた穴は、誰も埋めあわせることはできないのです。
「原発に絶対安全はない」ということは、北電側も認めました。そうであれば、「人類と原発は共存できない」という、あまりに多くの犠牲のうえに出された答えを、北海道電力も、国も道も、真正面から受け止めるべきではないでしょうか。原発を再稼働させるお金があるのなら、福島原発事故の収束と除染、賠償、再生可能エネルギーの研究・開発、普及にこそ投じるべきです。
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