「“駆けつけ警護”自衛隊は戦死者続出!」―。専門誌『軍事研究』の8月号で衝撃的な見出しが躍っています。
筆者の照井資規氏(元陸上自衛隊富士学校・衛生学校研究員)は、現代戦闘は「『効率的な殺人』に他ならない」と指摘したうえで、IEDと呼ばれる強力な即製爆発装置が多用されるようになった現状に触れ、「自衛隊の海外派遣において駆けつけ警護が開始されたのであればIEDによる爆発に遭い手足を失う負傷者が出ることであろう」「駆けつけ警護を行うとはこうした覚悟が必要であるし、手足を失った自衛官の社会復帰については国家的な施策が必要である」と警鐘を鳴らしています。
懸念される事態は、遠い先のことではありません。
安倍政権が強行した安保法制=戦争法ではあらたに「駆けつけ警護」や、他国軍との宿営地の共同防護ができるようになり、正当防衛に限らず任務遂行のための武器使用が可能になりました。これらの新しい任務を、11月に派兵予定の11次隊(青森市の陸上自衛隊第5普通科連隊が内定)から付与する方向で、政府は最終調整に入ったのです。憲法が禁じている海外での武力行使に踏み切る危険が迫っています。
日本共産党の笠井亮議員が衆院予算委員会(2月29日)で暴露した防衛省の内部文書『PKO法改正に向けた検討』(2012年3月27日付)では、他国部隊や文民要員などを救出する「駆け付け警護」の内容を検討しています。
同文書による「人質救出」の作戦手順は、①突入・鎮圧開始前までは努めて隠密に行動⇒②必要により敵監視要員を狙撃・射殺して、突入部隊の突入・鎮圧を容易化⇒③突入口を形成し、努めて複数方向から突入⇒④状況により回転翼機を活用し、上空からも突入⇒⑤突入後は迅速に敵を鎮圧し、人質を救出⇒⑥第一線救護(応急処置)――というもので、「警護」という生やさしいものではなく、急襲作戦そのものです。さらに、「(人質の)文民等を死亡させるリスクもある」と認めています。
笠井議員の追及に対して、安倍首相らは「戦闘行為に参加するものではまったくない」と述べる一方、こうした作戦が法律上「できない」とは言いませんでした。
内戦状態が続く南スーダンでは、大統領派と前副大統領派との武力衝突が激化し、7月には自衛隊宿営地にも着弾しています。こうしたなかで、戦争法に基づく新しい任務を遂行すればどうなるか―。文字通り、戦後初めて自衛隊が「外国人を殺し、戦死者を出す」ことになるでしょう。こうした危険を伴うからこそ、新しい任務の付与は参院選後に先送りされ、選挙中に安倍政権が戦争法について言及することも、ほとんどありませんでした。姑息なやり方で戦争法を発動することは、絶対に許されません。
命はひとつです。専守防衛を志す自衛隊員の命を、海外の戦争で奪う権利は誰にもありません。紛争当事者間の停戦合意が崩れている今、安倍政権は自衛隊を撤退させるべきです。戦争法の発動は、論外です。
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