妻から一本の映画を勧められました。映画「ファルージャ」。2004年4月に発生した3人の日本人人質事件とその後を描いたドキュメンタリー映画です。
「イラクは大量破壊兵器を保有している」とねつ造し、国際法に反してイラクに侵攻したアメリカ。ヨーロッパの同盟諸国も回線に反対するなかで、いの一番に支持を表明したのが日本の小泉政権でした。私も当時、デモ行進など反対運動に参加していました。
映画は、生々しい拘束されたときの映像から始まります。武装グループの叫び声や悲鳴が入り乱れ、3人の命の火はいつ消えてもおかしくない状況だったことを物語っていました。
犯行グループの要求は自衛隊のイラクからの撤退。それに対して日本政府は早々に撤退拒否の声明を発表しました。3人の国民の命よりも、日米同盟を優先したのです。
3人は医療支援などでイラクに入っていました。イラクに対し敵意がないことが理解され、奇跡的に3人は解放。しかし、日本で彼らを待っていたのは「自己責任」というバッシングでした。
拘束されたことよりも、その後のバッシングの方がつらかったという、当事者の今井紀明さん。それほど過酷な体験だったのです。にもかかわらず、1万通はあるかもしれない批判と激励の手紙一通一通と向き合い、それに対して返事を書き続けています。
もうひとりの当事者・高藤菜穂子さん。いまもイラクへ出向き支援を続けています。
事件の後、講演会で何度かお会いしました。あきらかに疲れていて、精神状態は限界を超えていたと思います。「強い女性」というイメージがありますが、決してそうではなく、イラクの厳しい現実と、そこにある命のぬくもりが、彼女を突き動かしているのだと思います。
映画では、先天性の異常をもって生まれた新生児も映し出されました。イラクのファルージャでは、その割合が14・4%にものぼるとのこと。米軍は劣化ウラン弾を大量に使用しました。内戦状態が続き、死傷者も絶えません。一度失われた相互の信頼が回復するには、相当の時間を要するでしょう。
「自己責任」
便利な言葉です。「あなた方が勝手にイラクに行ったのだから」と、3人の人質を助ける対象ではなく、国民の敵にまで仕立てることができたのです。10万人を超えるイラクの人々、そしてやはり家族のある、たくさんのアメリカなど軍人の犠牲に目をつぶりながら・・。
それぞれのやり方で「責任」をとり続けている3人の元人質たち。しかし、日本政府が、間違った戦争に加担した「責任」をとることはありません。
あらゆる場面で巧妙に仕掛けてくる、権力による「国民分断作戦」を見抜き、歴史の歯車を前にすすめていくためにたたかい続けなければ。3人の生き方を見て思いました。
それにしても、安倍政権が強行しようとしている「集団的自衛権」の憲法「解釈」の変更。もし、イラク戦争で集団的自衛権が認められていたら、自衛隊員の運命は・・。3人の人質の運命は・・。考えると恐ろしい。
※映画「ファルージャ/イラク戦争日本人人質事件…そして」はシアターキノ(札幌市中央区狸小路6丁目)で上映中。毎日午後4時50分からの1回のみで11日まで
(4月8日付けフェイスブックより)
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