日本共産党の私、森つねとは昨日、きたる総選挙で北海道1区(札幌市中央区、南区、西区と北区の一部)からの立候補を取り止めることにいたしました。
これまで私を「国会へ」「野党統一候補へ」と支援していただいた支持者、後援会員、党員のみなさん。さまざまな場面で、立場の違いを越えて応援していただいたみなさんに心から、感謝いたします。
予定候補として、役割のひとつを果たすことができました。
「私が(立候補を)決意した最大の動機は、次期総選挙で安倍政権を倒すこと。少なくとも(衆参両院で)3分の2を超える改憲勢力を崩す。そのために、野党共闘を必ず成功させたいからです」
昨年の12月5日、道政記者クラブで立候補表明をしたときに私が語ったことです。1区において「野党共闘」や「統一候補の実現」を口にした予定候補は、私以外にいませんでした。
それからちょうど10カ月たった昨日。歴史的な合意に至りました。
北海道の日本共産党と立憲民主党、社民党、市民の風の4者で、立候補予定者は、①安保法制の廃止、共謀罪の廃止をめざす、②立憲主義と民主主義の回復をめざす、③憲法9条の改定に反対する--以上の3点で政策協定を結ぶとともに、12選挙区すべてで各党が相互に支援することで合意することができました。
日本共産党は2区、7区、9区、12区で立憲民主党と社民党から支援を受け、それ以外の選挙区では立候補を取り止め、立憲民主党の候補者を支援することになります。
1区は立憲民主党の道下大樹さんに。昨日の午前中まで党の予定候補として街頭から訴え、記者会見が始まった午後2時ジャストからは道下さんの応援に切り替え、フル回転で活動を続けています。
「あれこれ言わず、とにかく候補一本化を」「あなたが降りればいい」。こんな声も当初、一部にありました。しかし、「大義の旗と相互支援・推薦がなければ『本気の共闘』にはならない。中途半端な形でたたかっても、安倍政権に勝つことはできない」と訴え続けて実を結んだ昨日の合意。感慨無量です。
改憲勢力による野党と市民の分断を北海道で阻止することができたのは、「野党は共闘」を合言葉に、一致点に基づく地域での運動の積み重ねがあったからこそ。市民と野党の勝利であり、必ず結果につなげたい。
「統一候補の実現」を自ら口にすることは勇気が必要でした。それは、場合によっては自らが退く可能性も含んでいるからです。後援会員や党員のみなさんは、私以上に忍耐を強いられるたたかいでした。
地域を歩けば「野党共闘」そのものに対する否定的な声もありました。今だから言えることですが、民進党への批判の声は相当ありました。「なんで民進党なんかと一緒にやるのさ。共産党だけでたたかった方が票は伸びるよ」と″助言″してくれる方も。
そんなときでも、野党と市民の共闘の意義を語り、民進党も努力をされて地域で共闘が広がっていることも伝え理解を求めてきました。こうしたなかで突然起こった同党の事実上の解党と希望の党への吸収・合併-。
ショックで落ち込む暇もなく、仲間たちを励まして回りました。一方で、こうした最悪の政党状況のもとで、党単独での全区立候補の可能性も視野に入れて、現場では並行して選挙戦に向けた膨大な実務作業が急ピッチで進んでいました。いつでも立候補できる状況でした。
同時に私は、最後まで野党と市民の共闘を諦めませんでした。市民のみなさんとの約束を、必ず守りたい-。この一心で市民と野党の共闘の再構築を願い、9月30日に行われた市民と野党の共闘の集会では、道下さんに対し私が出来うる最大限のエールを送りました。
紆余曲折と大波瀾もありましたが、安倍政治に対抗する市民と野党の共闘の発展に少しでも役立つことができたなら、これ以上の喜びはありません。
果たせなかったこともあります。それは、私自身が国会へ行きみなさんの願いを代弁してたたかうことです。
立候補を取り下げる直前、こんなメッセージが届きました。
「野党共闘も必要かと思いますが、森さんが1区から出馬してください。このままだと、私が心から信頼して投票する人がいないのです」
立候補が微妙な状況のなかで胸が張り裂けそうでした。立候補しないことを決めた以上、この思いは、私の胸のなかでしっかりと受け止め続けることをお約束します。そして、今度の選挙では、私の志を引き継ぐ統一候補の道下大樹さんに託されることを呼びかけます。
この10カ月間、同様の激励をたくさんいただきました。
私は子どもの居場所に携わる仕事をしていたこともありますが、人間同士の信頼があってはじめて成り立つものでした。政治家と有権者の関係も似ています。
そもそも、日本共産党は 1票たりとも自動的に入る票はありません。業界団体や支援団体の票を頼りにする政党ではないからです。
一人ひとりの党員のみなさんが、地域や職場、学園で党を代表して活動し、要求を取り上げ、さまざまな相談にも乗り、信頼関係を築くなかで、1票2票と支持を積み重ねます。「共産党には固い票がある」などと言われることがありますが、最初から「固い」のではなく、日頃の地道な活動があってのことです。
昨日の午後からさっそく党員のみなさんは、涙を振り払って「選挙区では道下さんを」と支持を広げるために奮闘されています。
「相互支援」ですから、立憲民主党の方にも一言だけ申し上げたい。こうした私たち党員や後援会員のみなさんの努力や決意をどうかご理解ください。「『合意』したから、あとは暗黙の了解で」ではなく、直接・間接に温かい激励のメッセージを発してください。そのことで、私たち日本共産党は、統一候補となった立憲民主党の候補者を最大限の力で応援することができると思います。
私、森つねとが生きる上で最も大切にしていることは「信義」です。今度の決断は、私自身の生き方そのものです。
同時に、この決断は日本共産党の政治理念と重なります。どんな困難があっても、国民の苦難軽減と利益を守るために、国民とともに歩み続ける日本共産党。さまざまな試練を乗り越え、階段を登るように一歩一歩、政治変革をすすめてきた95年の歴史があったからこそ、野党と市民の共闘の発展に貢献することができたと思います。
この力をさらに伸ばしていただくために、比例代表で日本共産党へのご支援を広げていただくことを、最後に心から呼びかけて、立候補辞退にあたってのごあいさつとします。引き続き、全力を尽くします。
[5回]
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